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b)320mm試験エンジン
NK(日本海事協会)ルールを用いて、最終目標出力時(出力率390、1,045PS/シリンダ)のクランク軸の応力について検討を行った。
この結果、目標出力時の応力は13.8kgf/mm2であり、許容応力である14.7kgf/mm2以下となり、燃焼最高圧力180kgf/cm2での運転においても、問題ないことを確認した。
また、ねじり振動についても計算を行い、問題ないことを確認した。(図33)

 

プロトタイプエンジン用にシリンダピッチを約40mm短縮した場合についてもNKルールにより検討を行った。
この場合はクランク軸の剛性が向上し、更に、応力が低下する。
また、FEM解析により細部の応力分布について評価を行った結果、クランクピンのフィレット部で13.1kgf/mm2、ジャーナルのフィレット部で11.4kgf/mm2であり、NKルール同様間題ないことを確認した。(図34、35)

 

3.5 ピストン

ピストンの構成には、球状黒鉛鋳鉄一体型と鋼製クラウン+球状黒鉛鋳鉄製スカートの組立型の2種類が考えられる。
高回転化を実現するためには、運動部品の重量は軽い方が良い。
このため、第1ステップで使用するシリンダ径260mmエンジンと第2ステップで使用する320mmエンジンにおいて、材質面および構造面から、軽量化のためのピストン構成の検討を行った。
重量の点では、比較的シリンダ径の小さい場合は、一体型および組立型による優位性は明確ではないが、シリンダ径が300mmを越えたあたりから、一体型の優位性が明らかとなり、シリンダ径が大きくなるにつれ、その差は拡大する傾向が見られる。
シリンダ径の小さい一体型ピストンの場合は、鋳造上、最低限の肉厚が必要で、相対的に重量増になるためである。(図36)
この結果、シリンダ径260mm試験エンジンには組立型(鋼製クラウン+FCD製スカート)が、320mm試験エンジンには一体型(FCD)が有利であることがわかった。

 

 

 

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